08年11月。私は母校の高校から依頼を受け、大勢の後輩の前で講演を行っていました。もちろん初めての経験です。
講演は「方向性を見失いがちな今の若者に、生き方やヒントを与えて欲しい」という主旨。
私は内向的だった自分がいかにポジティブに変わったか、「考え方が変われば人生が変わる」ということを体験を通して語りました。
翌日の新聞には、
「周りの環境は関係ない。人生を決めるのはいつも自分の考え方次第だ」
と母校の生徒に力強くアドバイスをする坪井歯科医師
と、私の講演が記事にもなりました。
・・・開業して20数年経ったとき、がむしゃらに毎日を過ごし、ふと目標を見失っている自分がいました。そんな時にある友人の紹介で参加したひとつのセミナーをきっかけに、私の考え方は少しずつ変わってゆきました。今までは歯科の技術さえ磨いていれば患者様は満足してもらえるものだと思っていた私が、患者様を本当に喜ばせるには何が必要か?ということを真剣に考えるようになったのです。
そのためには、単に良い材料や最新の技術だけではなく、精神的な励ましであったり、自分自身がプラス思考で治療にあたる事がいかに大切であるか、ということです。それを実践するようになってから、患者様から直接お礼の言葉を頂いたり、お手紙を頂いたりすることが明らかに増えました。
これまで内向的な性格だった私が、多くの学生の前で講演をするまでになり、そして患者様とのコミュニケーションを楽しめるまでになったのは、これまで患者様に支えられ、診療を行ってきた積み重ねと、技術はもちろん、診療に役立つと思える考え方を貪欲に蓄え続けた結果です。
最善な治療を受けるために最良の歯科医師を求めて、東京、大阪へと行くわけにはいきません。
しかし、こんな田舎でも、雑誌に載っていなくても、東京、大阪に行かなくても、浜松には患者様に最良の治療ができる歯科医がいると思って来ていただきたい。
大変おこがましいことかもしれませんが、いつもそう思っています。
ですから、どこにも負けないように自分なりに、勉強をしていると思います。
我々歯科医師は、最新の情報知識を得ているのが当たり前の職業です。
最善の治療ができるには、自分が錆付かないためには常に刃を研がねばなりません。
経験も必要、知識も必要です。しかし、いっそう必要なのは、
常に自己成長する機会を自分で設けているか
だと思います。
どうしても開業医は、自分の治療に独りよがりになってしまいがちです。
そこで私は、歯科はもちろん歯科以外の心理学なども含めた勉強会・講習会に参加し、他の先生方とディスカッションを行なったり、自分の治療した患者様の症例を発表したり、他の先生のものを検討したりしています。熱心な先生方の前では、間違った見解の発表や、恥ずかしい発言は決してできません。
これは、常に自分の成長を促す良い場になっています。
いつも、新しい考え方、知識・技術を入れていかなければ、時代に遅れてしまいます。もちろん技術だけでなく、医師との人間的なコミュニケーションを求めている患者様は多いと思います。
医師としての安心感、信頼感を持ってもらうためにこれからも研鑽を続けてゆきたいと思います。